【解説】死に至る病とは絶望のことである。「死に至る病」から学ぶ絶望の7つの種類を簡単にわかりやすく整理![死と絶望のセカイ]

死に至る病

死に至る病

この記事の内容:「絶望」の意味や分類を理解する。

この記事は本を紹介するための記事です。この記事に書いてあることは本に書いてあることの一部にすぎません。ぜひご自分で読んでみてください!

はじめに

ラザロの蘇生

題名の「死に至る病」とは新約聖書『ヨハネによる福音書』第11章4節から引用されているイエス・キリストが、病気で死んだ友人ラザロを蘇生させた際に「この病は死に至らず」と述べたことに由来しています。

では死に至る病とは何か?

この問いにキュルケゴールは

「死に至る病とはつまり絶望の事である。」

と答えたのでした。

死に至る病とは絶望のことである。

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キュルケゴールによれば、

人は自分自身に絶望しているといいます。

さらに彼は、

「絶望とは自己自身に関係する関係としての自己における分裂関係である」

と考え、人は自己を失うことによって絶望してしまうと唱えたのです。

絶望の形態

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Photo by Ahmed Adly on Pexels.com

絶望にはさまざまな形があります。

まず、自己の自覚によって大きく分けて3つに分類し、そこからさらに細かく分類することができます。

自己を持っていることを意識しない場合(非本来的な絶望)

無限性の絶望

これは空想の世界で生きている状態のことを指します。

例えば、

「お金持ちの家に生まれてたら楽に暮らせるのに」

といった願いは、実際には叶えることは不可能です。

こうして自己を失い絶望に至るのがこの無限性の絶望です。

有限性の絶望

無限性の絶望に対して、

世間に大しての有限性を感じて絶望してしまう状態のことを「有限性の絶望」と呼びます。

有限性とは、

周りの人に合わせて生きることで、自分の価値の限界に気付いてしまう、

そんなような絶望のことです。

可能性の絶望

無限と有限、続いて可能性と必然性の絶望が存在します。

まずは、可能性の絶望から。

可能性の絶望とは、

無意識にポジティブに捉えすぎて現在の自己を失ってしまう状態を指します。

たとえば、

自分はイケメンで成功している!(しかし、本当はそうではない)

という状態。

これは現在の状況に対して正しい判断ができていない状態だといえます。

これもまた自己を失っているというわけなんですね。

必然性の絶望

可能性の絶望とは反対に、

無意識にいまある自分をネガティブに受け入れすぎて自己を失うときもあります。

これを必然性の絶望といいます。

自己自身であろうと欲しない場合(弱さの絶望)

さて、次は意識手に自己自身であろうと欲しない場合の絶望についてです。

地上的なるものに関する絶望

地上的なるもの、というややこしい言い方をしていますが、つまり、

外からの受ける外的要因による絶望のことです。

たとえば、

莫大な借金ができて途方に暮れる、

といった場合です。

これは「借金」という外的要因によって自己を失っているといえます。

永遠的なるものに関する絶望

これもなかなか意味が分かりにくいとは思いますが、

地上的なるものの絶望に対してこちらは

自己の中の内的要因による絶望

ということです。

必然性の絶望と似ていますが、

自分が絶望しているという事実(内的要因)から抜け出せないため、自己を失っている状態のことです。

自己自身であろうとする場合

強情による絶望

いままでの絶望とは違い、この強情による絶望とは、

絶望状態を好意的に受け入れることによっておこる絶望

のことです。

「自分は絶望しているのだ。だから何が起こってもこの状態は変わらず、どうしようもないのだ」

というように、あらゆる救いに目を向けようとせずに自己を失っている状態のことを指します。

補足&豆知識

・『死に至る病』は、キェルケゴールによって著された著書だが、1849年の刊行当時はアンティ=クリマクス(Anti-Climacus)と言う偽名を用いて発行された。

・アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」に於いてエピソード16話の題名である「死に至る病、そして」は本書に由来する。

・我孫子武丸のホラー小説『殺戮にいたる病』のタイトルは「死に至る病」から来ているが内容はほぼ無関係である。

まとめ

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絶望の種類を理解することは、絶望への最初の対策になります。

昨年は有名人の方の訃報のニュースが目立ちましたが、

これもまた絶望から起きることなのだと思います。

自分のメンタルケアをするのは大切なことです。

わたしたちは日々の仕事や人間関係に悩まされていますが、

自分で死を選ぶことだけはしてはいけません。

やばいと思ったら、逃げる。

これが私が学んだことのなかでも大切だなあと思うことです。

自分を助けられるのは自分だけなので、

この「死に至る病」がみなさんが困ったときに役立つ一冊になることを願っています。

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