
この記事の内容:「嫌われる勇気」の重要な5つのポイントを理解する
この本について

この本は、著者の岸見一郎さんと古賀史健さんがアルフレッド・アドラーの心理学をまとめた本であり、アドラー自身の著書ではありません。
案外、勘違いされる方多いかと思われます汗
悩みを抱える「青年」の問いに「哲人」があらゆる問題に応えていく、という物語形式で本書は進みます。
この「青年」はつまり読者の悩みや不安を代弁しているキャラクターといえるでしょう。
「嫌われる勇気」の5つのポイント
1. 目的論

本書で紹介されているアドラー心理学では、まず人間の目的論について書かれています。
人間は何かしらの原因によって行動を選んでいるのではなく、目的があるから行動しているのだ、という考え方です。
たとえば、過去のトラウマから引きこもりになってしまったのも、それが原因ではなく、あくまでも引きこもることによって自己を守りたい、という目的が働いているのだとアドラー心理学は説明しています。
つまり、不幸だと思われる人生も結局は自分で選択した結果だということです。
では、ここで疑問が。
自分が嫌いという感情はなぜ生まれるのでしょうか?自分を嫌いになるために行動しているのでしょうか?
2. すべての悩みは対人関係の悩みである

アドラー心理学によるとこの問いに対して、自分を嫌うことで他者との関係の中で傷つかないようにしている、と言うことができます。
「すべての悩みは対人関係の悩みである」
つまり、他者と比べたり、他者の介入によって悩みが生じるというわけです。
この対人関係を解決するには人生のタスク(仕事のタスク、交友のタスク、愛のタスク)が必要だと紹介されています。
この人生のタスクというのは、一人の個人が、社会的な存在として生きていこうとするとき、直面せざるをえない対人関係のことを指します。
さあ、それでは具体的にはどうすればよいのでしょうか?悩みから自由になるにはどうすればよいのでしょうか?
3. 課題の分離

アドラー心理学はその答えとして、「課題の分離」を掲げています。
これは、他者の課題には介入せず、また自分の課題に他者を介入させないということです。
自分の課題とは、わかりやすく言うと、「最終的に自分が責任を負わなくてはいけない課題」のことです。
たとえば、子供の大学進学。
頭の良い大学に行くことは親の課題ではなく、子供の課題です。
この考えはとても勉強になります。
よく個性を伸ばせ!とか、自分を見つけろ!とか言われますよね。
でも、個性を伸ばそうとするのも、自分を見つけるのも、すべて自分の課題です。
他人がどうこう言う話ではありません。
まず、他人の課題と自分の課題を分けること。
そうすればかなり楽になることでしょう。
さらに、
「自由とは他者から嫌われることである」
と、本書では述べられています。
課題の分離をして、他者からの承認欲求を求めないことが大切なんですね。
ですが、
なんでもかんでも課題の分離をしていると、他者と自分を隔ててしまいます。
それが本当に正しい生き方なのでしょうか?
4. 全体論

この問いにアドラー心理学は、
「課題の分離は対人関係の出発点にすぎない。この対人関係のゴールは”共同体感覚”である」
と答えています。
他者を仲間だとみなし、他者に貢献することによって人は幸福を感じると本書では書かれています。
あくまでも他者は仲間であり、しかし、自分とは違う存在ということを認識することが大切です。
では、その共同体感覚を身に付けるにはどうすればよいでしょうか?
5. 共同体感覚を身に付けるための3つの方法

- 自己受容(ありのままの自分を受け入れる)
- 他者信頼(他者を無条件で信じる)
- 他者貢献(他者に貢献することによって人は幸福感を感じる)→貢献感が持てればそれでいい。
まず最初に、自己受容。これはありのままの自分を受け入れるということです。
テストの点数が悪かったとしても、まずは自分の結果を受け入れる。
テストの結果も自分の課題であって、他者の課題ではありません。
自分の課題であるならば、自分の捉え方次第で60点が違う価値を持つものになります。
60点しか取れなかったのか、60点も取れたのか。
もちろん目指している目標によってその価値観は大きく異なると思いますが、それもあくまですべて主観である、ということです。
2つ目は、他者信頼。他者を無条件で信じる、ということです。
これは文字通りに他者をいつも信じるという意味ではなく、
自分のことをもっと考えろ、という意味です。
他者に裏切られるの気にせずに自分の課題に専念する。
これこそが他者信頼の本質だといえます。
最後の3つ目は、他者貢献です。
他者に貢献することによって人は幸福を感じる生き物です。
ここでの他者貢献はなにも、本当に貢献しなければいけないわけではありません。
貢献感が持てればそれでいいんです。
まとめ
いま、ここを生きよう!→人生とは点と点の連続である。アドラー心理学が唱える目的論は原因論と違い、目的を変えれば人は変わる事ができる。
本書で重要なポイントはいま紹介したこの5つです。
- 目的論
- 全ての悩みは対人関係の悩みである
- 課題の分離
- 全体論
- 共同体感覚を身に付けるための3つの方法
このように文字で理解することは簡単ですが、実践するとなると難しいものです。
なので、本の教えは大切にしつつも、自分自身の頭で考えて行動することが全てにおいて成功する近道なのではないかと思います。
また、この「嫌われる勇気」の教えはスティーブン・R・コヴィーさんの「7つの習慣」にも類似する点がいくつもあります。
そもそも「7つの習慣」の方は、すべての自己啓発本の基礎が書かれている本なので、
この「7つの習慣」を軸に、テクニックとしての「嫌われる勇気」を読むのをオススメします。